「最近、名前を呼んでも振り向かなくなった。」
「耳が遠くなったみたい。」
老犬と暮らしていると、そんな変化を感じることがあります。
耳が聞こえなくなると、「かわいそう」「もう今までのようには暮らせないのかな」と不安になる飼い主さんも多いのではないでしょうか。
でも私は、一頭の犬と暮らして、その考えが変わりました。
今日は、耳が聞こえない愛犬から教えてもらったことをお話しします。
9歳で出会った、耳の聞こえないプードル
我が家に来たトイプードルは、9歳の頃にはすでに耳が聞こえていませんでした。
迎える前は、ボール遊びをしたこともなく、おすわりや待てなどのしつけ等の経験もない暮らしをしていました。
重度の外耳炎で、耳からはグレーや緑色のような分泌物が出ていました。
動物病院で診てもらい、獣医さんから
「外耳炎が治り鼓膜が治れば、聞こえるようになるかも。」と言われていました。
自宅で耳洗浄と点耳薬による治療を続けると、外耳炎はきれいに治りましたが、
耳が聞こえることはありませんでした。
耳が聞こえなくても、新しいことは覚えられる
「もう高齢だから覚えられない。」
そう思う方もいるかもしれません。
でも、この子は違いました。
耳は聞こえなくても、
手の合図だけで
おすわり。
待て。
おいで。
少しずつ覚えてくれました。
犬は耳だけで学んでいるわけではないです。
ちゃんと目を見て、
人の動きを見て、
一生懸命考えてくれていたのです。
年齢や耳が聞こえないことだけで、「もうできない」と決めつけなくてもいい。
この子が教えてくれました。
一番大切だったのは「見える安心」
耳が聞こえない生活で、一番頼りになるのは「目」です。
うちの子は、私が部屋を移動すると、よく後ろをついてきました。
トイレまでついてくることもありました。
甘えん坊ではなく、耳で私の居場所が分からないから、
目で確認できる場所にいたかった。
それが、この子にとっての安心だったのだと思います。
暗くなると迷ってしまうこともありました
年齢とともに目も少しずつ見えにくくなり、
暗い場所では、自分がどこにいるのか分からなくなったり、夜の散歩では低木にぶつかる事もありました。
耳が聞こえない犬にとって、目はとても大切な感覚です。
安心できる場所をつくること。
「ここにいるよ。」と、そっと体に触れて伝えてあげること。
そんな小さな配慮が、その子の安心につながります。
「かわいそう」ではなく、「どうしたら安心できるか」
耳が聞こえないことは、暮らしの中で配慮が必要になる場面もあります。
でも、不幸とは限りません。
犬は今ある環境の中で、一生懸命生きています。
だから私は、
「かわいそう。」
ではなく、
「どうしたら安心して暮らせるかな。」
と考えてあげてほしいと思っています。
その視点が変わるだけで、犬との暮らしもきっと変わります。
今日のおうちチェック
もし愛犬の耳が遠くなってきたと感じたら、まずは動物病院で相談してみてください。
耳の病気が隠れていることもあります。
そして、病気ではなく加齢などによる変化だったとしても、必要以上に悲しまなくて大丈夫です。
名前を呼ぶ代わりに、目が合ったら笑顔を見せる。
優しく体に触れる。
手で合図を送る。
犬は、ちゃんと見てくれています。
耳が聞こえなくても、幸せは変わらない
耳が聞こえなくても、
ボール遊びを知らなくても、
9歳から新しい暮らしを始めても、
この子は毎日、とても穏やかに過ごしていました。
私の顔を見て安心して、
ご飯を食べて、
散歩をして、
気持ちよさそうに眠る。
そんな姿を見ていると、
幸せは「聞こえること」ではないのだと思います。
大切なのは、
安心できる人がそばにいること。
自分の気持ちを受け止めてくれる人がいること。
耳が聞こえなくても、犬はちゃんと笑います。
ちゃんと学びます。
ちゃんと幸せになれます。
私は、その子から「できないこと」ではなく、「今できることを見る大切さ」を教えてもらいました。
だからもし、今あなたの愛犬の耳が聞こえなくなってきても、どうか必要以上に悲しまないでください。
その子はきっと、これからもあなたと一緒に幸せな時間を重ねていけます。