「仕事があるから、どうしても留守番をさせなければいけない。」
犬と暮らしていると、多くの方が一度は悩むことではないでしょうか。
私は、留守番そのものが悪いとは思っていません。
仕事もありますし、それぞれの生活があります。
でも、トリマーとしてたくさんの犬と出会ってきた中で、一つだけ強く感じていることがあります。
犬の一日は、留守番だけで決まるわけではない。
大切なのは、その前後をどう過ごしているかです。
留守番は悪いことではありません
「何時間までなら大丈夫ですか?」
という質問をいただくことがあります。
でも私は、「〇時間なら大丈夫」と簡単には答えられません。
なぜなら、同じ8時間のお留守番でも、その子の暮らし方によって感じ方は大きく変わると思うからです。
朝にゆっくり散歩へ行き、外の空気を感じ、帰ってきてごはんを食べて、安心して眠る。
そして夕方にはまた散歩へ行き、家族と遊び、のんびり過ごす。
そんな毎日なら、留守番の時間があっても心が満たされる子は多いのではないかと感じています。
反対に、散歩もほとんどなく、一日中刺激の少ない生活が続くとしたらどうでしょう。
私は、そこが気になります。
犬にとって「暇」は意外とつらい
私たち人間も、お腹は満たされていて、水もあり、スマートフォンもある。
でも、毎日同じ部屋で何時間も一人で過ごしてくださいと言われたら、少し退屈に感じるのではないでしょうか。
犬もきっと同じです。
もちろん犬は眠る時間も多い動物です。
でも、ただ時間をつぶすように眠ることと、散歩や遊びを楽しんだあとに安心して眠ることは、少し違うように私は感じています。
犬にとって毎日の散歩は、運動だけではありません。
季節の匂いを感じたり、
風を感じたり、
土の感触を楽しんだり、
そんな刺激が、心にも体にも大切なのだと思っています。
私が気になるのは「留守番」より「暮らし方」
これまでたくさんの犬を見てきた中で、退屈な時間が長く続いているように感じる子は、足をなめたり、足をかじったり、落ち着きがなくなったりする様子が見られることがありました。
もちろん、それだけが原因とは言えません。
体調や環境など、さまざまな要因があります。
それでも私は、「暇な時間が長すぎること」は、犬の心や体に少なからず影響する可能性があると感じています。
だから私は、「何時間留守番したか」よりも、
どんな毎日を送っているか。
そこを大切に考えたいと思っています。
留守番中は静かに過ごせる環境を
「音楽などはつけたほうがいいですか?」
と聞かれることがあります。
私なら、つける必要はないと思っています。
犬にも静かに過ごす時間は必要です。
トイレへ行き、
水を飲み、
少し歩き、
窓の外を眺め、
また眠る。
そんな穏やかな時間を過ごせる環境のほうが、私は理想だと思っています。
留守番中まで刺激が多すぎると、ゆっくり休めない子もいるかもしれません。
ケージで留守番?フリーで留守番?
これもよく聞かれる質問です。
私は、ケージそのものを否定するつもりはありません。
安心できる場所としてケージがあることは、とても良いことだと思っています。
でも、危険なものが片付けられていて、安全が確保できる環境なら、自由に歩けるスペースがあることも大切ではないでしょうか。
静かな場所で眠りたければ、自分からケージへ入る子もいます。
大切なのは、「閉じ込めること」ではなく、その子が安心して過ごせる環境を整えることだと思っています。
朝と夜の散歩は、一日のリズムを作る
私は、長時間留守番をする犬ほど、朝と夜の散歩を大切にしてほしいと思っています。
「今日は1時間散歩したから大丈夫。」
もちろん、それも素敵です。
でも、もし一日一回しか外へ出られないとしたら…。
私だったら少し物足りなく感じます。
朝に一度リフレッシュして、
夜にも外の空気を吸う。
それだけでも、一日のリズムは大きく変わります。
散歩は運動だけではありません。
気分転換でもあり、犬にとって大切な楽しみの一つなのです。
今日のおうち時間
今日は帰宅したら、スマートフォンを見る前に5分だけ愛犬と向き合ってみませんか。
一緒に遊ぶ。
体をなでる。
外へ散歩に出る。
それだけでも、犬にとっては特別な時間になります。
犬が本当に待っているもの
もし犬が話せるなら、こんなふうに言うのではないでしょうか。
「お留守番は頑張るよ。」
「だから、お家にいる時間は一緒に笑ってね。」
散歩へ行ったり、
一緒に遊んだり、
何もしないで隣でのんびり過ごしたり。
犬にとって本当に大切なのは、
留守番をしないことではなく、
大好きな人と過ごす時間なのかもしれません。
私は、そう思っています。